会議の議事録やインタビューの文字起こしなど、音声データを文字に変換するケースは日常的に多くあります。しかし、手動で文字起こしをする作業は時間も手間もかかります。そこで活用したいのが、文字起こしツールです。
近年の音声認識技術の進化により、データを取り込むだけで自動的に文字起こしをしてくれる便利なツールが増えてきています。この記事では、音声ファイル形式の中でもMP3ファイルに対応した文字起こしツールをご紹介します。文字起こしする際の注意点についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
文字起こしサービス・ツールの活用シーン
文字起こしサービスや文字起こしツールは、ビジネスの場をはじめとした様々なシーンで活用できます。まずはどのようなシーンで活用すると便利なのかを見ていきましょう。
会議や講演などの議事録作成
文字起こしツールの活用シーンとして代表的なものの1つは、会議や講演などの議事録作成です。議事録作成は仕事を行う上で欠かせないものですが、手動で作成すると時間も手間もかかってしまいます。文字起こしツールを活用しながら議事録を作成すれば、業務効率化を図ることができます。
近年はリモートワークが一般的になったこともあり、Web会議やオンライン講演会などを行うことも増えてきました。文字起こしツールは対面での会議や講演会などでも活用できますが、全員がオンラインで参加するWeb会議はそれぞれの発言がマイクで拾いやすくなるため、より正確な文字起こしが実施しやすくなります。
インタビュー記事の執筆
インタビュー記事を執筆する際にも、文字起こしツールは大いに役立ちます。取材相手の承諾を得てインタビューを録音し、その音源を文字起こしツールでテキスト化すれば、よりスムーズに記事を執筆することができるでしょう。
また、インタビュー音声を録音して文字起こしすると、取材対象者の言葉を正確に記録しておくことができます。記事の正確性を高めるためにも、インタビュー音声の録音と文字起こしツールが役立つと言えます。
言語学習のサポート
文字起こしツールの中には、英語や中国語などをはじめとした多言語に対応しているものもあります。そういった文字起こしツールを使って、音声を聞きながら文字起こしされたテキストを読めば、言語学習のサポートツールとしても活用できるでしょう。
翻訳ツールとして使う
多言語対応の文字起こしツールの中には、翻訳機能が付いたものもあります。一般的な音声翻訳ツールは、取り込んだ音声を翻訳して表示してくれますが、それを保存する機能が無いこともあります。翻訳機能が付いた文字起こしツールであれば、翻訳されたテキストを保存できるため、海外拠点との会議の議事録作成などにも役立ちます。
ただし、音声翻訳ツールと比較すると翻訳の精度にはあまり期待できないものもありますので、あくまでおまけの便利機能として考えておくとよいでしょう。
MP3形式対応の文字起こしサービス・ツール7選
ここからは、MP3ファイルに対応した文字起こしサービス・ツールをご紹介します。それぞれ特徴や機能、料金などが異なりますので、ぜひ使いやすいものを探してみてください。
Googleドキュメント
Googleドキュメントは、Google社が提供する文章作成ツールです。Googleアカウントを持っていれば無料で利用でき、データはインターネット上に保存されるため、複数人で文章の共同作成・編集も可能です。PC・スマートフォンどちらでも使えます。
Googleドキュメント上での文字起こしは「音声入力」機能として提供されており、PCやスマートフォンのマイクから拾った音声を文字起こしするものです。そのため、MP3ファイルから文字起こしを行う場合は、ステレオミキサーや音声ミックスアプリの設定をするか、Googleドキュメントを開いているのとは別デバイスで音声を再生するなど、工夫が必要である点には注意が必要です。
文字起こしさん
文字起こしさんは、オンライン上にアップロードした動画や音声データから文字起こしができるWebツールです。会員登録無しの場合は月1分まで、会員登録をした場合は1日10分まで、無料で文字起こしが可能です。
有料プランに加入すると、文字起こしできるデータの量を増やすことができます。Webページ上で利用できるため、アプリのダウンロードをする必要がなく、手軽に利用できるのが特徴だと言えるでしょう。
【文字起こしさん有料プラン】
- ベーシックプラン:1,000円/月(音声4時間/月)
- バリュープラン:2,000円/月(音声10時間/月)
- プレミアムプラン:3,000円/月(音声20時間/月)
Notta
Nottaは104言語に対応した文字起こしサービスです。アップロードした音声データは暗号化されるため、セキュリティ面から見ても安心して利用できます。スマホアプリもありますので、PC・スマホどちらでも利用できます。また、AI要約機能がついているのも特徴で、議事録作成やインタビュー記事の執筆にも便利だと言えるでしょう。
無料プランでは、音声ファイルからの文字起こしは1回5分まで、月120分までとなっています。
【Notta有料プラン】
- プレミアムプラン:12か月分一括払い14,400円/年(音声30時間/月)
- ビジネスプラン:12か月分一括払い74,520円~/年 ※ユーザー数・利用時間によって変動(40時間~/月)
- エンタープライズプラン:要問合せ
Rimo Voice
Rimo Voiceは日本語に特化した文字起こしツールです。AIによる高精度な音声認識を実現しており、ノイズ除去機能やフィラー除去機能(「えー」「あのー」といった意味のない言葉を自動で削除)も付いているので、より正確な文字起こしが可能となっています。PC・スマホどちらでも利用できます。
無料トライアルでは60分までの文字起こしが可能ですので、文字起こしツールを試しに使ってみたい人にもぴったりだと言えるでしょう。有料プランはスポット利用(従量課金制)と、法人向けの定額制のプランが用意されています。
【Rimo Voice有料プラン】
- スポット利用(従量課金制):音声30秒ごとに22円/動画30秒ごとに33円
- トライアル:30,000円/月(音声10時間/月)
- ライト:60,000円/月(音声20時間/月)
- ベーシック:120,000円/月(音声45時間/月)
- ビジネス:要問合せ(音声100時間/月)
CLOVA Note
CLOVA Noteは、LINEのAIテクノロジーブランド「LINE CLOVA」からリリースされたAI音声認識アプリで、文字起こしツールとして活用できるものです。ログインにはLINEアカウントが必要となっています。
PCブラウザ版とスマホアプリがありますので、PC・スマホどちらからでも利用できます。ブラウザ版はアップロード文字起こしのみ、アプリ版はアップロードとリアルタイム文字起こしに対応しています。
2024年1月現在、CLOVA Noteはすべて無料で利用できます。デフォルトでは月5時間まで、「サービス品質向上のためのユーザーデータの取得」をオンにすると月10時間まで利用可能です。
toruno
torunoは議事録作成に適した文字起こしツールです。PCで利用でき、会議中にリアルタイムで文字起こしをする機能と、音声ファイルをアップロードして文字起こしする機能があります。アップロードする音声ファイルはMP3形式にのみ対応しています。
音声とテキストだけでなく、画面キャプチャも保存できるため、Web会議ツールと連携してリアルタイムで議事録を作成する際に便利なツールだと言えるでしょう。無料プランでは合計3時間まで文字起こし機能を利用できます。
【toruno有料プラン】
- torunoパーソナル:1,650円/月(音声10時間/月)
- torunoビジネス(月20時間):6,000円/月
- torunoビジネス(月100時間):28,500円/月
- torunoビジネス(月500時間):135,000円/月
AI GIJIROKU
AI GIJIROKUは議事録作成文字起こしツールです。AIが99.8%の高精度で音声認識を行うため、記録の正確性を高められます。AI自動要約機能やリアルタイム共同編集機能、特定業種の専門用語認識に特化した業種別音声認識などがあり、30か国語に対応していますので、様々な用途に活用できるツールだと言えるでしょう。
無料プランでは文字起こし機能はチュートリアルのみしか使えないため、有料プランへの加入が必要です。パーソナルプランを1週間試せる「無料トライアル(要問合せ)」もありますので、ぜひ利用を検討してみてください。
【AI GIJIROKU有料プラン】
- パーソナル:1,500円/月(音声10時間/月)
- チーム:29,800円/月(音声100時間/月)
- ビジネス:200,000円/月(音声1000時間/月)
MP3ファイルから文字起こしする際の注意点
MP3ファイルから文字起こしを行う際には、いくつか注意すべき点があります。
文字起こしサービス・ツールだけでは完結できないことが多い
文字起こしツールは、手動だと大幅な時間と手間がかかる文字起こしの作業を効率的に行える便利なツールですが、精度が完璧であるとは言えません。誤変換があったり、音声認識できていない部分があったりして、最終的には手直しが必要になるケースが多いです。
より正確な文字起こしを行いたいのであれば、文字起こしツールだけで完結させるのではなく、あくまでも作業負担軽減のためのツールと考えて人の手で最終チェックを行うようにしましょう。
収音環境に注意
文字起こしツールに取り込む音声データは、ノイズが多く入っていると文字起こし精度が下がってしまいます。高品質なマイクを使用する、発言が被らないようにする、生活音などが入らないように個室へ移動するなど、出来るだけノイズが入らないような収音環境を整えましょう。
費用と機能のバランスを考えてサービス・ツールを選ぶ
文字起こしツールはそれぞれ機能も料金も異なります。一般的に、高機能なものは料金も高くなりがちです。自身の利用目的に合わせて、コストと機能とのバランスが取れたサービス・ツールを選ぶようにしましょう。
MP3形式に対応していないサービス・ツールの場合は変換が必要
今回ご紹介した文字起こしサービス・ツールは、すべてMP3形式の音声ファイルに対応しているものです。これ以外のMP3形式に対応していないツールを使う場合は、音声編集ソフトやWebサービスなどでファイル形式を変換してからインポートする必要がありますので、ご注意ください。
まとめ
文字起こしサービス・ツールを活用すると、議事録作成やインタビュー記事の執筆に大いに役立ちます。ただし、より正確な文字起こしテキストを保存したい場合は、最終的に人の手でチェックと修正を行うべき点には注意が必要です。
今回は、一般的な音声ファイル形式である「MP3」に対応したサービス・ツールをご紹介しました。無料で使えるものやトライアルができるものもありますので、用途と予算に合わせて、自分に合った文字起こしサービス・ツールを見つけてみてください。
AI GIJIROKU ブログ編集部です。議事録や、会議、音声を中心に生産性を向上するためのブログを執筆しています。