「エビデンス」という言葉を、ビジネスの現場で耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。間違った使い方をしないためにも、言葉の意味について正しく理解をしておきましょう。本記事では、エビデンスという言葉の意味や使い方について解説いたします。
目次
エビデンスとは
エビデンス(英語表記:evidence)とは、証拠・根拠・裏付けなどを意味する言葉のことです。一般的には、ビジネス用語として用いられるケースが多く、下記のような言い回しで使われます。
▼例文
①「その発言にエビデンスはありますか?」
→発言の根拠や裏付けはあるのか、という意味
②「契約ではエビデンスを取ってきてください」
→見積書や契約書などの書類をもらってきてほしい、という意味
③「今日の会議のエビデンスを残しておいていただけますか?」
→会議で決定した事項を記載してほしい、という意味
基本的にビジネスの現場では、エビデンスがないまま物事を進めることはできません。たとえば社外契約の場面ではもちろんのこと、社内で議論を行う場合でも客観的な事実や根拠となるエビデンスは重要な役割を果たします。また、このようなエビデンスに基づく判断のことを「エビデンスベースド」と呼ぶこともあります。
ビジネスにおけるエビデンスの重要性
なぜビジネスの現場では、エビデンスが重要とされるのでしょうか。ここでは代表的な2つの理由を解説いたします。
トラブルを未然に防ぐため
ビジネスの現場では、下記のようにさまざまな権利関係が存在します。
・法人:法人
・法人:個人(顧客)
・法人:個人(従業員)
・個人(上司):個人(部下)
それぞれの関係性において、何かとトラブルは発生するものです。たとえば法人:法人の取引であれば「契約時には◯◯と言っていたのに実際は違うではないか」という、いわゆる“言った言わない論争”が起こり、最悪の場合には裁判にまで発展するケースが少なくありません。また、たとえば個人(上司):個人(部下)の場合であれば「会議のエビデンスを残していなかったので先週どこまで議論をしたのか忘れてしまった」という事態から、部下が上司の機嫌を損ねてしまうケースがあるでしょう。このようなトラブルが発生しないように、エビデンスを残すことは、ビジネスの現場では欠かせないことであると考えられます。
客観的に説明できるような判断を行うため
ビジネスの現場では独断的な判断は歓迎されません。一つひとつの判断に対して、基本的には利害関係者に対する説明責任が発生します。たとえば一般社員であれば管理職に対して、管理職であれば経営陣に対して、経営陣であれば株主に対して、何か説明を求められれば回答しなければならないのです。そのため、たとえ小さい判断であろうと、発言や行動に対するエビデンス(裏付け)があることは重要であり、ビジネスを円滑に進めるためには重要なことであると考えられます。
業界ごとに異なる「エビデンス」の使い方
一般的にエビデンスとは「証拠・根拠・形跡を意味する」と説明しましたが、業界ごとに異なる使い方をする場合があります。
ここではIT業界・医療介護業界・金融業界・行政分野での使い方をそれぞれ解説いたします。
IT業界
IT業界のなかでもシステム開発の分野では「システムが問題なく動いていること」を示す証拠のことをエビデンスと表現することがあります。後々に不具合が生じた際の証拠として、画面キャプチャやログデータ、データファイルなどを保管しておくのです。
また、IT業界のなかでもWebマーケティングの分野では「数値改善の提案をするための具体的な根拠」のことをエビデンスと表現することがあります。たとえばWeb広告の出稿を提案する際に、類似商材の広告出稿単価・クリック率・コンバージョン率などをエビデンスとして提示することで、提案内容の説得力を高めることが可能です。
医療・看護業界
医療・看護業界では、医療従事者が行う「治療」や処方する「薬」が医学的に有効であることを示す根拠として、エビデンスという言葉が用いられます。医学的に有効であるかは、臨床試験などの研究を通じて解明されるものです。EBM(Evidence-Based Medicine=根拠に基づく医療)という言葉が世界的に提唱されているように、医療従事者の判断は人命に関わるもので、エビデンスに基づいた行動が求められています。
金融業界
金融業界では、源泉徴収票・銀行預金通帳・住民税決定通知書など、本人の支払能力を証明する重要書類に対してエビデンスという言葉が用いられます。たとえば融資を受けるときや、ローンを組むときなどに個人が銀行から提出を求められるのです。一方で、海外送金をする際に求められるエビデンスとは、送金目的を記載した書類のこと。これは、マネーロンダリングを防ぐために銀行側で確認が義務づけられています。
行政
行政の分野では、政策の実施可否や適切な手段などを判断する根拠として、エビデンスという言葉が用いられます。基本的に、政策とは国民(住民)の税金を使って行われるものであり、政治家や役所の独断的な判断で行われるべきものではありません。世界的には「EBPM(Evidence-Based Policy Making=証拠に基づく政策立案」という言葉が提唱されているように、政策の目的を明確にしたうえで、エビデンス(証拠・根拠)に基づいて取り組むべきであると内閣府も掲げております。
エビデンスと似た意味を持つ単語
エビデンスと似た意味を持つ単語として「ファクト」「ソース」「プルーフ」などが挙げられます。ここでは、それぞれの意味について解説いたします。
ファクト
ファクトとは、実際に起きた出来事(事実)のことです。エビデンスが「事実の証拠」を意味するのに対して、ファクトは「事実そのもの」を意味します。たとえば社長退任があった際には、ファクトはあくまで「20☓☓年☓☓月☓☓日に◯◯社長が退任した」ことです。一方でエビデンスは、たとえば「社長退任の公式リリースがあったこと」などが該当します。
ソース
ソースとは、情報の出どころ(出典)のことです。エビデンスが「証拠」を意味するのに対して、ソースは「証拠の出典」を意味します。たとえば、同じく社長退任を例に挙げると、エビデンスは「社長退任の公式リリースがあったこと」となりますが、ソースはあくまで出典である「公式リリース」のことを指します。
プルーフ
プルーフとは、証拠のことです。基本的にはエビデンスと同じような意味で使われますが、エビデンスに含まれる「根拠」「裏付け」などの意味は含まれていません。また、ビジネス用語としてはエビデンスを使用するのが一般的です。
まとめ
本記事ではエビデンスという言葉について、ビジネス現場での意味や使い方を中心に解説していきました。ビジネス用語として市民権を得つつある言葉ですが、その意味や使い方は業界ごとに異なります。使用する際には、相手の仕事や知識レベルに合わせるようにしてください。
また、エビデンスは「会議内容の証拠」という意味から、議事録を表す言葉としても使われています。しかし、議事録は執筆者の主観で書き換えられてしまう可能性があり、証拠という意味であまり機能しないのが実情です。そこでおすすめなのが「AI GIJIROKU」というツール。Zoomと連携をするだけで、リアルタイムでテキスト化が行われ、会議終了後には議事録を自動で保存することが可能です。また、音声認識精度は99.8%。参加者の声を自動で判別して「誰が・何を言ったのか」を、限りなく正確に特定することができます。
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AI GIJIROKU ブログ編集部です。議事録や、会議、音声を中心に生産性を向上するためのブログを執筆しています。