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生産性向上・業務効率化 記事更新日: 2023/05/14

不動産DXのメリットや注意点は?有効なツールや企業事例を紹介

「不動産DXって何?」「不動産DXの有効なツールとは?」業務の効率化のために不動産DXの導入を検討している方は、このような疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。知識が足りず不安を感じている状態では、不動産DXを導入するのは難しいです。

そこで今回は、不動産DXの意味や有効なツールを解説します。不動産DXを導入して成功した企業事例や有効なツールのアンケート結果も紹介しますので、DX導入で悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

不動産DXとは?

DXとはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称で、IT技術を導入して業務フローの改善やビジネスモデルの変革を実現し、競争上の優位性を確立する手法です。不動産DXの導入により、アナログ業務を効率化させ、時代によって変化する顧客のニーズに合わせることが可能です。

不動産DXが重視されている理由

不動産DXが重視されているのは、不動産業界のアナログ業務が常態化されていて、業務効率が上がらないことが一因です。この他に顧客のニーズが変化していることも要因といえるでしょう。不動産DXが重視されている理由を2つ紹介します。

アナログ業務の常態化

不動産業界では、書類を手書きで作成したり来客や内見の対応を対面で行ったりと、人手に頼った業務が多い状態が続いています。

2021年の総務省の調査によれば、不動産業、物品賃貸業のカテゴリーにおいてDXに取り組んでいる企業は約4割でした。その他の6割の企業は「実施していない、今後も予定なし」と回答しています。

参考:我が国におけるデジタル化の取組状況 総務省

アナログ業務が常態化してしまうと、書類の記入やFAXのやり取りなど業務の効率が落ちてしまいます。紙ベースでの情報の保管には、盗難や紛失のリスクがあるばかりではなく、保管場所の確保や情報の検索や共有にも問題があります。

DXが進まず非効率的な業務が常態化すると、長時間労働は避けられません。さらに、長時間労働による離職者の増加も懸念されるため、今後DXの推進は必須といえます。

顧客ニーズの変化

不動産業界では、顧客ニーズにも大きな変化が見られます。以前であれば不動産に直接足を運んで物件情報などを集める顧客よりも、インターネット上で検索から内見予約、賃貸契約を結ぶケースも見受けられるようになりました。

このような状況に対応するためには、顧客のニーズに合わせてサービスを提供する必要があります。オンライン上で契約が完結するような、デジタル化やオンラインサービスの導入は不可欠といえるでしょう。

不動産DXを推進するメリット

不動産DXを推進すると、業務の効率化のほかにも多くのメリットがあります。ここからは、不動産DXを推進するメリットを5つ紹介します。

業務の効率化が図れる

内見の対応など人力に頼っていたものをシステム化すると、業務の効率化が図れます。システム化を通して業務全体を最適化できれば、アナログ業務の自動化が可能となるでしょう。作業の工数をカットし労働時間を減らすことで人件費削減にもつながります。

人手不足が解消される

DXを導入すると、手書きでの書類作成など、人手に頼っていた業務が減少します。それに伴い労働時間が短くなると、長時間労働による人手不足の解消につながります。さらに、DXの効果を最大限高めるためにプロセスを見直して無駄な作業を削減できれば、仕事の生産性も著しく向上するでしょう。

労働環境が改善される

DXを導入してアナログ作業が減少すれば、効率化に伴って残業時間も減り、従業員は働きやすくなります。従業員のワークライフバランスが整えば、仕事のモチベーションアップも期待できるでしょう。さらに生産性向上も見込めるため、長期的な視点で見ると営業利益の増加にもつながります。

顧客満足度が上がる

顧客の中には「インターネット上で内見や手続きを済ませたい」と考える人がいます。VRで簡単に内見できたり、チャットでの問い合わせが可能になったりすると、そのような顧客の満足度を上げられます。デジタル化によって継続的な利用者が増加すれば、営業利益も上がっていくでしょう。

古いシステムから脱却できる

不動産DXを進めれば、古いシステムから脱却して事業拡大が見込めます。経済産業省によると「企業がDXを推進しなければ、2025年から2030年にかけて国内で年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と言われています。古いシステムは改善が繰り返されるたびに、複雑化・肥大化して、扱える人材がいなくなるためです。

この問題は「2025年の崖」と呼ばれ、経済産業省が「DXレポート」にて警鐘を鳴らしています。DXを推進して古いシステムから脱却し、経済損失のリスクを回避することがポイントです。

参考:DXレポート 経済産業省

不動産DXを進めるうえでの注意点

不動産DXを進めるうえで、いくつか注意点があります。ここからは、不動産DXを進めるうえでの注意点を4つ紹介します。

前例が少ない

不動産DXに取り組んでいる会社は多くないため、前例が少ないのが現状です。そのため、自社に適したDXの方法を見つけることは難しいかもしれません。

しかし裏を返せば、他社に先駆けてDXの導入を進めれば差別化できるともいえます。大手不動産会社のDX導入で成功した事例も徐々に増え、不動産業界向けのツールも誕生しているため、それらを活用して積極的に取り組んでみましょう。

時間とコストがかかる

DXは成果が出るまでに時間とコストがかかるのが難点です。この後に紹介する三井不動産の例でも、プロジェクトを開始して新しいシステムの導入に至るまで、約2年半もの歳月がかかっています。

仮に急いで導入した場合、部署内の連携が取れず社員同士で混乱してしまうこともあります。また、予算を抑えて不動産DXを推進しても、余計な時間がかかったり中途半端な成果になったりしてしまうなど、よい効果が見込めないでしょう。長期的な目線で、プロジェクトを推進できる予算やリソースの確保が必要です。

ツールの選定が難しい

不動産DXに有効なツールは豊富にあり、どれを導入するか選ぶのが難しい場合もあるでしょう。ただし、DXの導入を成功させるにはツール選定が重要となるため、特徴や料金体系の違いを把握して、自社に合うものを見つける必要があります。

なお、ツールを選ぶ際は以下を意識してみましょう。

  • DX導入目的にあった機能が充実しているか
  • 操作性が優れているのか
  • サポート体制が整っているか

適当に選んでしまうと、複雑な操作で使いにくく元々使用していた業務フローに戻ってしまう可能性があります。ツールによっては無料トライアルやお試し期間があるため、実際に運用してから決めるのもおすすめです。

ツール導入後の対応が大変

導入後はツールの操作や機能など、新たに覚えることが増えて従業員には一時的な負担がかかります。慣れるまでは業務に時間がかかったり、ツールの使い方で混乱したりするかもしれません。ただし、長期的に見ると業務効率が上がるため、マニュアル作成や研修の実施、プロジェクトチームの発足など準備を整えながら導入するといいでしょう。

不動産DXを進めるポイント

ここからは、不動産DXをスムーズに進めるためのポイントを4つ紹介します。

DXを推進する組織作り

DXを推進するには、組織的なDX推進体制を重視することが大切です。

日本企業よりもDXを積極的に進めているアメリカ企業の例を見てみましょう。「DX白書2021」によると、アメリカ企業は経営部門・IT部門・業務部門の協調性を重視し、組織的なDX推進体制を大切にしています。

参考:DX白書2021

「経営目線」「現場目線」など、あらゆる視点からのDX推進を意識してみましょう。

DXの目的の明確化

DXを進める際は目的を明確化することも重要です。DXは、ビジネス界でのトレンドとして扱われている一面もあります。

しかし、目的があいまいなまま時代に合わせて導入すると、労力と費用の浪費につながります。DXを通して「業務のどの部分を改善したいか」「どのようにしてビジネス成長につなげるか」を考えることが大切です。

DXに必要な人材の教育・採用

DX推進では人材の教育と採用も必須といえます。「DX意識調査」によると、DX推進の課題として「人的リソースがない」と回答した企業が2番目に多いことがわかりました。

参考:DX意識調査アンケート

デジタル技術を扱うには、専門知識をもった人材が必要です。ITの知識だけを持った人材でもDXの導入はできますが、不動産業界にも詳しい人材のほうがスムーズに進められます。

自社に合うツールの導入

DXの目的や予算などを考慮して、自社に合うツールを導入しましょう。DX推進は長期的に行うものであり、どのような目的を実現するかを明確にすると、自社に必要なツールがわかります。

また、DXは経営部門やIT部門、業務部門が合同で利用するものです。それぞれの部門のITリテラシーに合わせて、企業全体で使えるかどうかも検討するポイントに盛り込みましょう。

不動産DXに有効なツール

不動産DXのツールの種類は多く、自社に何が合うのか悩んでいる担当者の方もいらっしゃるかもしれません。

ここでは、不動産テック4社と不動産業界2メディアが実施したアンケート「不動産業界のDX推進状況調査」の結果をもとに、有効なツールを解説します。

アンケートでは、不動産DXに有効な13のツールが取り上げられました。それぞれのツールの特徴をみていきましょう。

ツール名 特徴
Web会議システム Zoomなどオンラインで会議ができるツール
電子契約システム 不動産取引の契約書などを、オンラインで締結できるツール
電子申込システム オンライン上で入居などの申込ができるツール
IT重説のためのシステム 不動産契約における重要事項説明をオンライン上で行うZoomなどのツール
賃貸管理(不動産基幹ソフト)システム 賃貸・土地管理などの業務をサポートするツール
内見予約システム オンライン上で物件確認や内見調整を不動産業者と顧客の間でやり取りできるツール
VR・オンライン内見システム 360度写真や動画を使ったVR体験をして、オンラインで内見できるツール
オーナーアプリ・ポータル 不動産会社とオーナーが収支報告などを連絡できるツール
入居者アプリ 入居者からの修理依頼や、管理会社からの点検のお知らせなどをやり取りできるツール
AI査定システム 不動産査定をAIで行うツール
RPA(Robotic Process Automation)システム 定型業務を自動化するツール
CRM(Customer Relationship Management)システム 顧客の情報を一元管理できるツール
更新退去システム 入居者の更新や退去のやり取りを案内するツール

調査によると、企業が導入している・導入進行中のDXサービスのなかで高い割合を占めるのは、以下のツールです。

  • Web会議システム 70%
  • 賃貸管理(不動産基幹ソフト)システム 52.3%
  • 電子申込システム 39.1%

また導入検討中のDXサービスは、以下の3つのツールが高い割合を占めました。

  • 電子契約システム 18.7%
  • IT重説のためのシステム 15.8%
  • 電子申込システム 14.0%

2021年4月から賃貸契約だけでなく売買契約も、IT機器を活用して重要事項説明をできるようになった点が影響しているでしょう。

導入されたDXツールは、どのツールも「とても満足している / まあまあ満足している」との回答が50%を超えました。特に高い満足度を得ているツールは以下の3つです。

  • Web会議システム 83.3%
  • 内見予約システム 80.0%
  • AI査定システム 73.6%

DXツールの導入に迷ったときは、上記を参考にしてみてください。

参考:不動産業界のDX推進状況調査

不動産DXの事例

ペーパーレスや印鑑レスなどの不動産DXを導入したことで、大幅な経費削減や従業員の満足度向上につながっている事例があります。ここからは、不動産DXの事例を3つ紹介します。

三井不動産

三井不動産では、決裁システムや会計システムを統合して、クラウド上で完結できるようにしました。ペーパーレスや印鑑レスなどのモバイル化を進めたことにより、受発注と会計業務が35%・約58,000時間もの削減につながっています。

また、三井不動産はDXとして、法人向けシェアオフィス「ワークスタイリング」の提供もスタートしました。音やプライバシーに配慮した1人用の個室であるため、働き方が多様化する現代に求められるサービスと言えます。

これらの取り組みを活かして、コロナウイルスの流行に伴った最初の緊急事態宣言では在宅勤務率90%を達成し、従業員の満足度向上にもつながっています。

野村不動産

野村不動産では、2021年11月上旬から株式会社デジタルガレージが開発した電子契約を一元で管理できるサービス「Musubell(ムスベル) for 仲介」を導入しました。

導入によって、不動産売買契約をするときに必要な書類の作成や、契約書類の署名と捺印の手続きが電子化されました。顧客の契約時における利便性の向上や、契約業務の効率化につながっています。

GA technologies

GA technologiesは不動産DX技術を発展させ、現在では売上高853億円を突破した企業です。経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄」にて、GA technologiesは2020年から2022年の3年連続で選ばれています。

GA technologiesの主なDXの取り組みは、紙の資料や契約書のデータ化などで、不動産取引プロセスを包括的にデジタル化したことです。投資用ローンの申し込みや審査のオンライン化も進め、非対面での不動産売買を実現しています。

まとめ

DXとはIT技術を導入して、業務フローの改善やビジネスモデルの変革を実現し、競争上の優位性を確立する手法を指します。不動産業界にDXを導入する目的は、アナログ業務を効率化させ、変化する顧客のニーズに合わせることです。DXを導入するときは、「何を改善したいのか」など目的を明確にして、自社に合うツールを選ぶことがポイントです。

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