ビジネスの現場では、誰もが報告書を作成する機会があるのではないでしょうか。業務報告書や調査報告書、研修報告書など、報告書にはさまざまな種類があります。もちろん、それぞれの書類で適切な書き方は異なりますが、一方で共通して重要なポイントもあります。また、日本のビジネス習慣にあわせた構成が求められるため、一定の型が存在するものです。
そこで本記事では、報告書の書き方を解説いたします。また、すぐに活用できるテンプレート例文もご紹介いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
報告書とは
報告書とは、目的を持って調査や検討を行い、その結果をまとめて報告する文書のことです。ビジネスの現場では、調査の結果やトラブルの経緯などを、上司や顧客に対して報告するための資料が該当します。一般的には、主観的な内容を交えた「レポート」とは異なり、報告書では客観的な事実を記載するケースが多いです。
報告書の書き方
報告書を書く際には、以下の手順を踏むのがおすすめです。
1.目的を明確にする
2.正しい情報を集める
3.構成を作成する
4.本文を作成する
それぞれの詳細について詳しく解説いたします。
1.目的を明確にする
まずは報告書を書く前に「誰に何を伝えるための資料なのか」を明確にしましょう。目的が不明確で曖昧なままでは、伝えるべき内容をうまくまとめることができません。また、ビジネスの現場では「報連相(報告・連絡・相談)」が重要だと言われますが、不用意に報告を繰り返してしまうと、相手の貴重な時間を奪うことになるため、注意をしましょう。
2.正しい情報を集める
報告書の目的を明確にしたら、つぎに報告書に必要な情報を洗い出しましょう。報告書を書くためには、正確な情報を収集する必要があります。必要な情報を整理できたら、信頼できる情報源から情報を集めるようにしてください。
3.構成を作成する
正しい情報を集めたら、つぎに報告書の構成を作成してください。報告の内容によって最適な構成は異なりますが、一般的には「表題・要旨・詳細」といった順番で記載します。まずは「何についての報告書なのか」を明記し、つぎに「結論はなにか」を簡潔に述べて、最後に「具体的な詳細や今後の対応策など」について詳しく記述します。確認する相手が読み進めながら、内容を理解できるような構成にしましょう。
4.本文を作成する
作成した構成書をもとに本文を作成します。
文章を書くときには、下記のポイントに注意をしましょう。
・一文を短くする
・結論を最初に記載する
・主語と述語を対応させる
・曖昧ではなく、具体的な表現をする
・句読点を適宜いれる
見出しを付け加えたり、箇条書きにしたりなど、相手が読みやすいような文章を意識すると、伝えたい内容を正しく伝えられます。また「誰が読むのか」を意識すると、確認する人にとって必要な情報を記載することができるでしょう。
【種類別】報告書の例文テンプレート
「報告書に何を記載すれば良いのかわからない…」という方に向けて、実務で使えるテンプレートをご紹介いたします。本記事でご紹介する記載事項をもとに作成をすれば、報告書を0から作成するよりも素早く書き終えることができるでしょう。
本記事では、下記の用途別にテンプレートをご紹介いたします。
・業務報告
・完了報告
・調査報告
・トラブル(経緯)報告
・研修(セミナー)報告
それぞれの用途にあったテンプレートをご活用ください。
業務報告
業務報告書とは、部下が上長に対して、月単位や日単位で行った業務内容を報告するものです。いわゆる「月報」や「日報」がこれに該当します。業務の進捗状況や成果、得られた学びなどを記載するのが一般的です。
▼業務報告書のテンプレート
1.所属:(※部署名を記載)
2.名前:(※氏名を記載)
3.報告日:(※日付を記載)
4.勤務場所:(オフィス/自宅)
5.担当業務の進捗状況
ータスクA:(完了/着手中/未着手)
ータスクB:(完了/着手中/未着手)
ータスクC:(完了/着手中/未着手)
5.担当業務の詳細
ータスクA:(※詳細な対応状況を記載)
ータスクB:(※詳細な対応状況を記載)
ータスクC:(※詳細な対応状況を記載)
7.業務上の問題点
ータスクA:(※問題点があれ詳細を記載、ない場合は「なし」と記載)
ータスクB:(※問題点があれ詳細を記載、ない場合は「なし」と記載)
ータスクC:(※問題点があれ詳細を記載、ない場合は「なし」と記載)
8.明日(来週)の予定
ー◯時〜◯時まで◇◇を行う
ー◯時〜◯時まで◇◇を行う
ー◯時〜◯時まで◇◇を行う
※()内は記載例です
業務を進めるなかで感じている課題があれば、報告書に記載するようにしましょう。業務報告書の目的は「上長が部下の業務状況を把握すること」にあります。上長が課題をすぐに認識できるように、細かいことでも記載することをおすすめします。
完了報告
完了報告書とは、主に受託型のビジネスにおいて「依頼された作業内容を完了した」ことを報告するものです。一般的には、システム開発や建設業界で作成されることが多いです。提出する目的は「作業内容が完了したことをお互いに合意するため」であり、この報告書を相手側が受理したということは、これ以上の追加作業は発生しないということを意味します。
▼完了報告書のテンプレート
1.会社情報:(※社名・住所・担当部署を記載)
2.作業名:(※作業内容を一行程度で記載)
3.作業完了日:(※日付を記載)
4.作業期間:(※期間を記載)
5.作業場所:(※作業場所を記載)
6.作業内容:(※作業内容を詳細に記載)
7.特記事項:(※作業内容について補足を記載)
8.作業担当者:(※氏名を記載)
※()内は記載例です
7の特記事項では、作業中に発生したトラブルや次回の作業有無などを記載します。また、通常は紙の書類やExcelファイルで送付をし、最後に「作業担当者サイン」と「お客様確認サイン」を記載して、合意の証拠を残すのが一般的です。
調査報告
調査報告書とは、依頼された内容について調査分析をした結果や考察を報告するものです。一般的にはマーケティング職や企画職などが、市場調査や顧客調査を報告する際に作成されます。ただ調査結果を報告するだけでなく、次の施策に繋がるような考察を加えるのがポイントです。
▼調査報告書のテンプレート
1.作成日:(※日付を記載)
2.作成者:(※氏名を記載)
3.調査趣旨:(※調査目的について簡潔に記載)
4.調査方法
ー調査期間:(※期間を記載)
ー調査対象:(※年代・性別・人数などを記載)
ー方法:(※調査媒体を記載)
5.調査概要:(※調査結果について簡潔に記載)
6.調査詳細:(※調査内容を客観的に記載)
7.考察:(※調査結果を踏まえて意見を記載)
※()内は記載例です
調査報告書を作成するときには、事実と意見が混同しないように見出しを分けるようにしましょう。また、調査概要の部分は相手が知りたいポイントを押さえたうえで、数行程度で記載をします。確認する側が、調査概要を踏まえて「あとは意思決定をするだけ」という状況にするのが理想的です。
トラブル(経緯)報告
トラブル報告書とは、業務中に発生したミスやトラブルについて、その経緯や対応策を報告するものです。主に「何が起こったのか」「なぜ起こったのか」「どのように対策するのか(再発防止をするのか)」の3点を、正確に記載する必要があります。
▼トラブル(経緯)報告書のテンプレート
1.作成日:(※日付を記載)
2.作成者:(※氏名を記載)
5.発生内容:(※発生日と内容を簡潔に記載)
6.現状:(※対応完了か否かを簡潔に記載)
7.経緯:(※経緯を時系列で記載)
8.原因:(※原因を箇条書きで記載)
9.対策:(※各原因に対する対策を箇条書きで記載)
※()内は記載例です
トラブル報告書には、社内向けと社外向けの2種類があります。社外向けの場合は事実報告だけでなく、最後にお詫びの一文を添えると良いでしょう。
▼お詫びの例文
この度は多大なるご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。
原因を調査したところ、◯◯に問題がありましたので、現在早急に対応策を進めております。△△(※日付を記載)には完了する見込みですので、また改めてご連絡させていただきます。
以後このようなことがないように、再発防止策に取り組んでまいります。
今後とも引き続き、ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。
研修(セミナー)報告
研修(セミナー)報告書とは、研修に参加した受講生が学習した内容をまとめて報告するものです。受講生の理解を深めるのはもちろんのこと、開催側が報告書を確認して、次回の研修に活かすという目的があります。また、開催者だけでなく、受講生の上長も内容を確認することで、部下の成長を確認することができるでしょう。
▼研修(セミナー)報告書のテンプレート
1.所属(※部署を記載)
2.名前:(※氏名を記載)
3.研修テーマ:(※研修名を記載)
4.参加日:(※日付を記載)
5.開催場所(※場所を記載)
6.講師(※講師名を記載)
7.研修の目的:(※研修のゴールを記載)
8.研修内容:(※具体的な研修内容を記載)
9.振り返り:(※研修を経て学んだことを記載)
※()内は記載例です
研修で得られた知識は業務に活かすことが大切です。振り返りの部分では「学んだ内容をどのように実務に活かすか」を記載すると、研修内容をより効果的なものにできるでしょう。
報告書を上手く書くコツ
報告書を上手く書くコツについて解説いたします。
読みやすい構成にする
報告書は相手が読みやすい構成にしましょう。実際のビジネスの現場では、上司やクライアントには報告書の内容を隅から隅まで細かく目を通す時間はありません。要点だけに目を通せば内容を理解できる、そして気になる点があれば詳細を確認できるというような、わかりやすい報告書を作成しましょう。
ポイントは、表題➝要旨➝詳細の順番で記載をすることです。
表題とは、タイトルやテーマを意味するものです。報告書が「何のために、何について書かれたものなのか」をわかりやすく記載します。基本的には1文程度で報告書の概要をまとめると良いでしょう。
つぎに記載する「要旨」とは、報告書の結論をまとめたものです。たとえば経緯報告書であればトラブルが発生した要因や対応策を記載し、市場調査の報告書であれば調査した結果や考察を記載します。箇条書きで3文程度に抑えると、相手が要点だけ確認したい場合に便利です。
そのつぎに記載する「詳細」では、「要旨」で記載した内容の背景や分析内容について、詳しく記述します。詳細の部分では、具体的な数字や日付などを出典元とあわせて記載するようにしましょう。すべての文章に目を通されるとは限りませんが、報告書の内容を裏付けるためには欠かせない部分となります。
5W1Hを意識する
報告書を作成するときには、5W1Hを意識して文章を記載しましょう。
・When:いつ
・Where:どこで
・Who:だれが
・What:なにを
・Why:なぜ
・How:どのように
この要素に沿って文章を記載すると、伝えたい内容を網羅的に整理できます。また、確認相手が報告書を読んでいて「なぜこの問題が発生したの?」や「どのように対策をするの?」といった疑問が発生しづらくなり、報告書だけでコミュニケーションを完結できるようになります。
事実と意見を区別する
報告書で記載する内容では「事実」と「意見」を区別しましょう。そもそも報告書とは、一般的に「事実」を報告するものです。まずは客観的な事実やデータを記載することを前提として、そこに対する意見(考察)があれば、見出しを分けて記載をしましょう。
数字を具体的に記載する
事実を正確に報告するためには、具体的な数字を用いて記載をする必要があります。たとえば経緯報告書であればトラブルが発生した日時を記載したり、調査報告書であれば分析結果を数字で記載します。
数字の報告では、できるだけ客観的に記載するようにしましょう。たとえば「◯◯が100万人もいて多い」「◇◇は5万円と少ない」などは主観的な判断であり、人によって解釈が異なるため注意が必要です。一方で「◯◯は✕✕と比較して多い」「想定していた◇◇よりも少ない」など、何かと比較したうえで過多を述べる分には問題ありません。
文体やフォントを統一する
報告書の文体やフォントはできるだけ統一するようにしましょう。文体やフォントがバラバラでは、文章を読むのに集中できず、内容が頭に入ってこなくなってしまいます。強調したい部分だけフォントサイズを変える程度であれば問題ありませんが、基本的には揃えることをおすすめします。多くの場合は、上司やクライアントに提出するものですので、ビジネスマナーに沿った書き方がおすすめです。
誤字脱字に気をつける
報告書は何よりも正確な情報を伝えることが重要です。小さな誤字脱字は誤った情報を伝えてしまう原因になりかねないため、最大限の注意をして記載しましょう。最近ではWordやGoogleドキュメントの基本機能で誤字脱字のチェックができます。また、無料で使えるチェックツールも数多くあるため、ぜひ活用してみてください。
テンプレートを活用する
報告書の作成は、既存のテンプレートを活用して時短を図るのがおすすめです。素早い報告は、正確な内容を伝えることと同じくらい重要なです。そもそも提出が遅れてしまえば、上司やクライアントを困らせてしまい、信頼を失うことにつながります。時間をかけて0から作成するのではなく、テンプレートに沿って必要事項を埋めていく流れで作成しましょう。
まとめ
報告書とは、問題の経緯や分析した調査などをまとめて、関係各所に共有するための資料のことです。ビジネスの現場では「業務報告」「トラブル(経緯)報告」「調査報告」などで活用されます。報告は内容の正確さと素早さが重要だといわれます。書類作成の時間をできるだけ削減するには、テンプレートを活用するのがおすすめです。
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