「敬称略」という言葉はビジネスシーンでよく使われるため、耳にしたことがある方が多いのではないでしょうか。しかし、いざ使用するとなると「どんな場面で役立つのか分からない」「誤って使用したら失礼になるのでは」などの理由で躊躇する方もいるかもしれません。
そこで今回は、敬称略の概要や使用するタイミング、役立つ場面や使用する際の注意点などを詳しく解説します。また、例文をまじえて正しい使い方や誤った使い方を紹介するので、使用する際の参考にしてみてください。
目次
敬称略とは
敬称略とは、その名の通り敬称を省略することです。一般的に、社内であれば自分よりも目上の役職の方に対して呼び捨ては失礼にあたるため、敬称を付けて記載します。社外の方に対しても、同様の理由で敬称を付けます。
しかし、参加者が多い会議のアジェンダや議事録、式典などにおける名簿に敬称をつけるとその分文字数が増えるため、かえって見にくくなりがちです。
このような場合に敬称略を用いることで、資料が見やすくなります。また、省略することをお詫びする効果もあります。
敬称の具体例
はじめに、敬称について解説します。敬称とは、「人や役職などの名前に続けて用いる接尾語で、相手への敬意や尊敬の念を表したもの」を指します。
よく使われる敬称には、様、殿、御中、先生、各位などがありますが、シーンに応じて、以下のとおり使い分ける必要があります。
〇「様」「殿」・・・個人に宛てる際の敬称
〇「御中」 ・・・組織・団体に宛てる際の敬称
〇「先生」 ・・・特定の職業に就いている方に宛てる際の敬称
〇「各位」 ・・・複数人に宛てる際の敬称
敬称略はどこに入れる?
敬称略は、議事録や名簿、資料などを作成する際において使用します。
参加者欄のはじめに「(敬称略)」と明記するのが一般的です。例えば、議事録の参加者欄に「(敬称略)相沢、今井、宇野…」のように記載します。使う場所を間違えないように気を付けましょう。
敬称略が役立つ場面
ここからは、敬称略が役立つ場面を紹介していきます。
例えば、ビジネスにおける議事録や、冠婚葬祭における資料などで役立つことが多いです。
以下のとおりまとめたので、詳しく見ていきましょう。
ビジネスにおける議事録
会議の議事録をまとめる際に敬称を使用すると、特に出席者が多い場合は文字が長くなり、資料が見にくくなるおそれがあります。
そのような場合に敬称略を用いることで、議事録をスッキリさせることができます。
冠婚葬祭の資料
多くの出席者が訪れることが予想される冠婚葬祭においても、配布資料を見やすくするには敬称略が効果的です。
また、祝電や香典などを紹介する場面でも、敬称略を用いることで進行がスムーズになります。その場合は、あらかじめ敬称略で読み上げることを宣言しましょう。
敬称略を使うときの5つの注意点
敬称略を用いる際は、以下5つの事項に注意して適切に使用しましょう。
1:二重敬語に気を付ける
丁寧な表現を意識すること自体は悪くありませんが、二重敬語になってしまうと失礼にあたります。例えば、「社長様」「部長様」と記載した場合、役職に加えて敬称である「様」が付いており、二重敬語になるため気をつけましょう。
2:大人数のときに利用する
敬称略のメリットは資料の文字数を削減できる点にあります。そのため、そもそも少人数なら文字数の関係上、敬称略を使用しなくても問題ないケースが多いです。読み手の読みやすさを意識して文書を作成する意識を持ちましょう。
3:社外の方の記載に配慮する
資料に社外の人物が含まれる場合は、記載順序に注意しましょう。社外の関係者はお客様にあたるため、基本的には最初に記載するようにしてください。その後に社内の関係者を記載すると自然な流れになります。
4:役職順に並べる
敬称略にする場合、役職等の記載がなくなるため、参加者の序列が分かりづらくなります。そのため、資料では参加者の役職順に並べるようにします。役職順でないのなら、(順不同)と忘れずに記載しましょう。
5:メールでの使用は控える
一般的に、メールで敬称略を用いるのは失礼にあたります。上述のとおり、敬称略はビジネスシーンにおける議事録や、式典、冠婚葬祭で見られる手法のため、メールには相手方の氏名に敬称を付けるようにしましょう。
敬称略の正しい使い方・誤った使い方
それでは、敬称略の正しい使い方・誤った使い方について、例文を用いて解説します。
これまでの話をもとに、社外文書・社内文書の正しい例文、誤った使い方の例文を紹介しますので、参考にしてみてください。
社外文書の正しい例文
社外の方は上述のとおり「お客様」にあたるため、社外文書で敬称略にする場合、社内の方よりも優先して記載します。また、氏名のあとに会社名を記載するようにしましょう。
以下、「〇〇株式会社で開催された会議の議事録」を敬称略にする際の例文です。
【例文】
●●に関する会議 参加者一覧(敬称略)
・田中 太郎 ◇◇株式会社
・鈴木 花子 株式会社△△
・高橋 一郎 〇〇株式会社 ←社内の方は記載順を下げる
・佐藤 明子 〇〇株式会社
社内文書の正しい例文
社内文書で敬称略を用いる際は、役職順に並べます。敬称も役職も記載しないため、相手が社内の方であっても、ビジネスマナーを守って正しく敬称略を使用しましょう。
なお、出席者の役職が曖昧だったり、何らかの理由で役職が上の方を最初に記載できなかったりする場合は、「敬称略、順不同」などと記載しましょう。以下は「社内会議の出席者名簿」を敬称略にする際の例文です。
【例文】
●●に関する会議 出席者名簿(敬称略)
・高橋 一郎
・佐藤 明子
・加藤 隆
・田中 卓也
誤った使い方の例文
単純なミスですが、「敬称略」と記載し忘れてしまうと単なる呼び捨てになり失礼にあたります。
また、少人数の場合はそもそも敬称略を用いる効果が薄いので、相手方に違和感を抱かれるおそれがあります。少人数の会議などであれば、役職名や敬称を記載するほうが無難です。その場合、「部長様」「課長様」などの二重敬語になっていないか注意しましょう。
【誤った使い方の例文】
出席者名簿
・高橋 一郎
・佐藤 明子
上記は敬称略を記載しておらず、さらに少人数の会議になるため「様」などの敬称をつけることが一般的です。このような誤った使い方はしないよう、注意点に気をつけながら文書を作成してみてください。
まとめ
敬称略は資料を見やすくする効果がありますが、誤った使い方をしてしまうとかえって失礼になってしまいます。その状況が敬称略に適しているか検討したうえで、正しく使用することを心がけましょう。
AI GIJIROKU ブログ編集部です。議事録や、会議、音声を中心に生産性を向上するためのブログを執筆しています。