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生産性向上・業務効率化 記事更新日: 2023/08/30

生産性向上ってなに?効果的な取り組み方法とよくある失敗事例

生産性向上

人手不足や働き方改革が叫ばれる現代、企業にとって生産性向上は必要不可欠です。しかし、企業の担当者の中には「生産性向上が必要だと言われるけど、そもそも生産性向上の概要がよくわからない。具体的な進め方を知りたい」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、生産性向上のメリットや失敗事例、具体的な取り組みに関して解説します。本記事を参考に、ぜひ自社の生産性向上に取り組みましょう。

生産性向上とは

生産性向上とは、より少ないインプットで今までのアウトプットを維持、もしくは増やすことを指します。企業にとってインプットとは、労力や資金などの資源のことです。より少ない人員や資源でアウトプットを増やせれば、企業にとってメリットが多いでしょう。

例えば、5人で1ヶ月に10個の商品を販売していたところを、3人で同じだけ販売できるようになれば、生産性は上がったといえます。

生産性向上の主なカテゴリー

生産性向上という言葉は主に3つのカテゴリーに分けられます。物的労働生産性、付加価値労働生産性、全要素生産性の3つを詳しく見てみましょう。

物的労働生産性

物的労働生産性とは、生産する商品の数や大きさ、従業員の数など、物理的な生産数を基準にした考え方です。特にメーカーや工場といった商品を作る企業において、物的労働生産性がひとつの基準になります。

作る商品の大きさや数、重さなどが増えれば、物的労働生産性が高まっていると考えていいでしょう。

付加価値労働生産性

2つ目は付加価値労働生産性です。付加価値を具体的に言うと、商品から生み出される利益のことを指します。ひとつの商品の利益率が10%だったものを、戦略を改善して20%にしたとしましょう。この場合は、付加価値労働生産性が向上したと言えます。

全要素生産性

3つ目は全要素生産性です。全要素とは、労働量や生み出す商品ではなくプロセスの生産性のことを指します。例えばAIを使って業務の時間が短縮できたら、全要素生産性が上がったと言えます。この他にも、クラウド型ツールなど技術的な進歩を活用して売上が成長した場合は、全要素生産が上がったと考えていいでしょう。

生産性向上と業務効率化の違い

生産性向上と業務効率化は混同されやすい概念です。似ているように見えますが、少し意味が異なります。

業務効率化は、既存の業務におけるムリ・ムダ・ムラを改善する取り組みのことです。アウトソーシングやツールの導入、業務フローの改善を通して人やお金、時間のコストの削減を目指します。生産性向上という目的を達成する手段のひとつに、業務効率化があるといえるでしょう。

生産性向上が求められる理由

企業に生産性向上が求められるのは、業務の属人化や人員不足、情報のブラックボックス化を防ぐためです。それぞれの理由を詳しく解説します。

業務が属人化している

1つ目の理由は企業において属人化している業務が増えているためです。特定の従業員がいないと作業が進まないようなケースでは、万が一その従業員にトラブルがあった場合、事業の存続ができません。

属人化している業務が多ければ多いほど、事業を継続できないリスクは高まっていきます。そのため、業務を平易化して生産性を上げることが求められているのです。

情報がブラックボックスになっている

2つ目の理由は、情報がブラックボックスになっているからです。多くの企業では共有フォルダを使ってサーバー上でデータを共有しています。

しかし「どのファイルがどこにあるかわからない」という状況に陥ると、仕事を進めるペースが遅くなってしまいます。この状態を悪化させないためには、クラウド型ツールの活用などでデータの一元管理を図り、生産性を上げることが必要です。

人員不足が深刻化している

3つ目の理由は、企業において人員不足が深刻化しているからです。人口が減っている日本において、労働できる年齢層の人口も同様に減り続けています。

そんな状況下で今まで通りの仕事をするためには、仕事を効率化するしかありません。効率化を進めるためには、ツールなどを用いて生産性を上げていくことが求められます。

日本企業の競争力が低くなっている

4つ目の理由は、日本企業の競争力が低くなっているからです。グローバルな視点で見ると、世界ではGAFAなどのアメリカのIT企業が競争力を強めています。

一時期はトヨタなど日本の企業も目覚ましい業績を上げていましたが、今は世界のトップ企業には及びません。このような状態を抜け出すためには、それぞれの企業が生産性を上げて業績の向上を図る必要があるでしょう。

生産性向上に役立つ考え方

生産性向上を実現するには、今までの働き方や考え方を変える必要があります。ここでは、コスト削減や人材育成などの生産性向上に役立つ考え方をご紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。

業務やコストを削減する

業務やコストを削減することは、生産性向上の手段として思い浮かぶ方も多いでしょう。現状の業務やかかっているコストを削減して、売上を維持する方法です。

業務自体の廃止を検討することなどで、人員や資金などの削減が可能です。余力ができれば、より成果に繋がる事業に注力できるでしょう。

大幅に投資を縮小する

大幅に投資を縮小することも有効な考え方です。事業の撤退や早期退職者の募集など、大幅にコストを削減することで生産性向上を目指します。

いわゆるインプットの部分を減らすことになるので、事業や人員の取捨選択が必要になります。不満が出る場合もあるので、実行の際は慎重に判断しましょう。

ITや人材育成で成果を伸ばす

ITや人材育成で成果を伸ばすことも役立つでしょう。DX化や社員のスキルアップを行えば、労働量や時間は現状維持のまま成果を上げることが可能です。

具体的にはDX化を推進したり、研修や資格取得支援などで社員のスキルアップを支援したりすることが考えられます。ただし、人材育成には一定の期間がかかります。長期的な視点で取り組む必要があるでしょう。

関連記事:AIで生産性向上は実現可能?導入するメリットや向いている業務を解説

特定の事業に大幅な投資をする

特定の事業に大幅な投資をすることも考えられる手段です。注力したい事業に人や資金などを集めて、業務の推進力を高めることで生産性向上を図ります。

ただし、注力する事業は慎重に選ばなければなりません。注力した事業が上手くいかないと経営が大きく傾く可能性があります。リスクを理解したうえで、慎重に検討する必要があるでしょう。

生産性向上の5つのメリット

生産性向上には国際競争力の強化や社員のスキル向上など、さまざまなメリットがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1:人手不足の改善

メリットの1つ目は、人手不足の改善です。少子高齢化が進み、労働人口が減少している今、人材の採用や育成は簡単ではありません。そのため、人材を増やす以外の対策が求められています。

生産性向上に取り組めば、人を増やさずにアウトプットを維持・増大することが可能です。具体的には、1人当たりのアウトプットを上げることや、ツールの導入による業務の自動化が考えられるでしょう。

2:国際競争力の強化

メリットの2つ目は、国際競争力の強化です。海外主要国と比較して、日本の生産性は低いのが現状です。総務省が2019年に調査した「労働生産性の国際比較」では、G7各国の中で日本の生産性は最下位となっています。

グローバル化が進む現代は、海外との競争も激化しています。競争を勝ち抜くためにも、生産性向上は取り組むべき課題といえるでしょう。

3:労働環境の改善

メリットの3つ目は、労働環境の改善です。労働環境が悪い企業は就職でも選ばれず、社員の定着率も低くなってしまいます。その傾向は、日本生産性本部が実施した「2018年度 新入社員 春の意識調査」でも明らかです。

調査では「残業が少なく、平日でも自分の時間を持て、趣味などに時間が使える職場」を臨む回答が75.9%で過去最高となっています。生産性向上を通して労働環境を改善することは、企業に人を定着させるためにも重要です。

4:社員のスキル向上

メリットの4つ目は、社員のスキル向上です。生産性が低い状態では、スキルの向上や業務に役立つ資格取得などは、後回しになりがちです。しかし、社員のスキル向上は長期的な視点で考えると、1人あたりの生産性向上に直結します。

スキルが上がれば業務を効率よく進められるので、より重要な業務に注力できます。結果的に企業全体の生産性も上がり、好循環となるでしょう。

5:会社全体の課題が明確になる

メリットの5つ目は、会社全体の課題が明確になることです。生産性を上げるためには、現状を把握して問題点を洗い出すプロセスが必要不可欠でしょう。

例えば業務を可視化すれば、時間のかかっている業務や、予算と成果が釣り合わない事業などが浮き彫りになります。企業が抱えている課題が明確になれば、次の方針を決めやすくなるはずです。

6:ムダなコストの削減になる

生産性を上げればムダなコストを削減できます。例えば、ツールを使ってルーティン業務を自動化すれば、人件費を削減できるはずです。ルーティン業務をしていた従業員の時間を、企画を練るなどのクリエイティブな仕事に使ってもいいでしょう。

効率化できそうな業務を改善していけば、今までずっとかかっていたコストを大幅に削減し、新たな時間や費用を捻出することができます。

生産性向上に失敗してしまう事例

生産性向上 失敗

生産性向上では、トップダウンでの判断やマルチタスクなど、失敗に繋がる事例もあります。ここでは、生産性向上に失敗してしまう事例をご紹介します。それぞれ確認して、施策の失敗を防ぎましょう。

能力が高い人ばかりに仕事を振る

能力が高い人ばかりに仕事を振ると、長期的には生産性が下がってしまいます。一部の社員の仕事が集中すると、負担が増えてしまったり、その人がいないと業務が止まってしまったりする可能性があります。

一部の優秀な社員に頼るのではなく、チーム全体で生産性を底上げしましょう。社員全体の生産性が上がれば、今までよりも処理できる業務量が増えます。さらに、業務の属人化を解消できるので、有給取得率の増加など労働環境改善にも繋がるでしょう。

とりあえず残業を減らそうとする

生産性向上の取り組みとして、むやみに残業を減らそうとするのは危険です。減らない残業は、タイトなスケジュールや、多過ぎる業務量が原因の可能性があります。そのため、ただ時間だけを減らしても社員の負担が増えるだけです。

また、仕事を持ち帰ってこなす人が出て来れば、情報漏洩のリスクも上がってしまいます。生産性向上のためにはただ労働時間をカットするのではなく、業務を減らしたりやり方を変えたりする工夫が必要です。

マルチタスクをこなして効率化を図る

1人で複数の業務を抱えるマルチタスクは、おすすめできません。業務を細分化する場合、1日の中で何度も作業を切り替える必要が出てきます。複数の業務を同時進行すると一見効率よく見えますが、いずれ業務をさばききれなくなるでしょう。

業務はシングルタスクで進める方が効率よく進みます。ひとつひとつ進めることで、作業に集中できるので、各業務の時間を短縮できるのです。

現場の状況を把握せず方針を変える

現場の状況を把握せずに方針を変えることも、生産性向上が失敗する原因です。現場の声を吸い上げられていないと不要な施策が実行されてしまい、逆効果になる可能性があります。

施策が形骸化してしまえば、かかったコストもムダになってしまうでしょう。生産性向上を成功させるためには、トップダウンで判断せずに現場の声を吸い上げることが大切です。

効率化できる投資をしない

効率化できる投資を惜しんでしまうと、生産性向上に失敗する恐れがあります。ITツールや情報共有の方法が発達した昨今、アナログ業務を維持したまま他の施策を進めようとするのは非効率といえるでしょう。

効率化に繋がる投資の一例としては、議事録ツールや押印の電子化、テレワークなどがあります。導入初期は新しいフローに慣れる手間がかかりますが、効率化のためにぜひ取り入れてみましょう。

生産性向上につながる5つの取り組み

ここまで、生産性向上のメリットや失敗事例を紹介してきました。では、生産性向上を効果的に進めるにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、生産性向上につながる5つの取り組みを具体的に解説します。

1:業務を可視化する

1つ目は、業務を可視化することです。業務を棚卸すると改善点が明確になり、解決策を考えやすくなります。ムダな業務の廃止、アウトソーシングを検討するなど、施策を打ち出せるでしょう。

業務を可視化する際には、上層部だけで考えるのではなく、現場の社員を中心に行うようにしましょう。実際に施策を実行するのは現場の社員です。社員に協力してもらい、課題を整理することが大切です。

2:業務を標準化する

2つ目は、業務を標準化することです。業務の手順や判断基準が社内で統一されると、誰もが同じ質とスピードで作業を進められるようになります。また属人化を解消すれば、担当者の不在による業務の滞りも減らせるでしょう。

業務を標準化するためには、例えば以下のような方法があります。

  • マニュアルの整備
  • テンプレートの活用
  • 顧客の情報を共有し、対応のばらつきを防ぐ

これらの方法を実践すれば、業務が標準化され、属人化も解消されるはずです。新人の教育や社員の退職時の引き継ぎの際も安心です。

3:社員間のコミュニケーションをこまめに行う

3つ目は、社員間のコミュニケーションをこまめに行うことです。効率化を追求するあまり、コミュニケーションまで省いてしまうと、相談や報告がしづらい環境になってしまいます。こまめに声かけをして、気軽に会話できる雰囲気を作りましょう。

また、社員をマネジメントする立場なら、部下への定期的な面談も検討してみてください。意見や反論をせず、傾聴する姿勢で取り組むと、相談やミスの報告もしやすくなるでしょう。

4:人員配置を見直す

4つ目は、人員配置を見直すことです。人数の過不足や適正に合わないポジションは、社員の負担が増えて業務効率も悪くなってしまいます。

人数が少ない部署から多い部署への移動や、適正に合わないポジションにいる社員を移動させるなど工夫してみましょう。人員配置の見直しは効率的なだけでなく、社員の離職率を下げることにも繋がります。

5:ITツールへの設備投資

5つ目は、ITツールへの設備投資です。社内の人材が不足している場合、すぐに人を確保するのは難しいでしょう。人手不足を解消するには、ITツールに頼ることも効果的な取り組みです。

最近では、業務におけるムダの改善やマニュアル整備に便利なツールが多く登場しています。例えば、議事録作成ツールやRPA、電子サインなどが挙げられます。ツールの導入は、最初こそ費用がかかりますが、長期的には人手不足解消や業務効率化に貢献してくれます。

関連記事:生産性向上に役立つツール17選!無料・有料別にそれぞれのおすすめを紹介

生産性向上に取り組む際の注意点

生産性向上に取り組む際には、施策を実行するだけでなく検証や改善など、注意するべきことがあります。注意点をひとつずつ確認して、失敗がないようにしましょう。

数値を計測する

注意点の1つ目は、数値を計測することです。ただ施策を実行するだけでは、本当に効果が出ているのかわかりません。数値を測って、予定通りに改善が進んでいるか検証するべきです。

施策実行前には「〇の作業を自動化して〇時間工数減」など目標を決めておきましょう。目標があれば、実行後も作業の進み具合や施策の効果を確認しやすくなります。

検証後は改善を忘れずに

注意点の2つ目は、検証後の改善を忘れずに行うことです。施策を実行し、その効果を検証すれば、改善点も出てくるでしょう。

改善点を放置してしまうと、問題のある施策が継続されるので現場の負担が増えます。コスト面でのムダも発生するでしょう。施策の検証後も改善を継続して、徐々に生産性を上げていくことが大切です。

社員のモチベーション向上に努める

注意点の3つ目は、社員のモチベーション向上に努めることです。生産性向上を実現するためには、施策を実行するだけでは不十分です。社員が生き生きと働ける環境作りを心がけましょう。

具体的には、メンタルヘルスケアや評価制度の見直し、KPIの改善などの方法があります。社員のモチベーションが上がれば、生産性向上のさらなる加速が期待できます。また、労働環境の改善によって離職率が下がり、人手不足の緩和にも繋がる可能性があります。

まとめ

生産性向上は企業にとって重要な課題です。人手不足や競争力強化のためにも、取り組むべきでしょう。今回ご紹介した内容を参考に、生産性向上の進め方やアイデアを社内で考えてみてください。

具体的には、業務フローの変更やコミュニケーションの強化、ツールの活用などが有効です。特にITツールは、即効性の高い施策なのでおすすめです。オルツのAIGIJIROKUは、議事録の作成を通して生産性向上を後押しします。この機会にぜひ活用をご検討ください。

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