業務自動化は人手不足や生産性向上のために有効な手段です。企業の担当者の中には「業務自動化の具体的な手段がわからない」「メリットやデメリットは?」と疑問をお持ちの方もいるでしょう。
そこで今回は、業務自動化のメリットやデメリット、4つの方法を詳しく解説します。本記事を読めば、業務自動化の概要や具体的なツールが分かり、自社に合ったツールの導入を検討できるようになるはずです。
目次
業務自動化とは
業務自動化とは、これまで人が行っていた単純作業などをツールによって自動化することを指します。IT技術の進歩により、データ入力や表作成などの簡単な事務作業はツールでも人と同じクオリティを出すことが可能です。
AIやプログラミング、自動化ツールなどを活用することで、ルーティンワークは自動化され、徐々に削減されつつあります。
人手不足が叫ばれる昨今、数多くの企業においてDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する動きが活発になっています。DXはデジタル技術を活用して、ビジネスモデルの変革と競争上の優位性を確立することを目的とするものです。
業務を自動化するだけでは、DXの本質的な目的を果たしているとは言えません。しかし、業務自動化によって生産性を向上させ、人材不足に対応してリソースを確保することは、DX推進の一歩となるでしょう。
業務自動化の3つのメリット
業務自動化には業務の効率化や人手不足の改善など、主に3つのメリットがあります。それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
1:業務の効率化
1つ目のメリットは、業務の効率化です。単純作業を自動化することで、本来力を入れるべき業務により多くのリソースを集中させられます。
例えば、営業なら従来は顧客名簿の管理など、売上に直接繋がらない作業も行う必要がありました。しかし、ツールで作業を代行すれば営業戦略を考えたり、商談の数を増やしたりできるはずです。重要な業務に時間を使えるようになると業務の質も向上します。
2:コストの削減
2つ目のメリットはコストの削減です。業務自動化を取り入れることで、作業に充てる人数と時間が減るため人件費の削減が期待できます。
例えば作業を外注していた場合、自動化ツールを導入すれば外注費の削減が可能です。また社員が事務作業をしている場合でも、残業時間を削減できる可能性があるでしょう。もちろんツールの導入初期はある程度の費用がかかりますが、長期的には費用を抑えられます。
3:人為的ミスの防止
3つ目のメリットは人為的ミスの防止です。人が業務を行ううえで、人為的ミスは避けられません。しかし、業務自動化ツールならミスなく同じスピードとクオリティで業務を進められます。
ツールによる自動化を取り入れることで業務の質が安定し、ミス防止のダブルチェックの手間と時間も削減できるでしょう。
業務自動化の具体的な4つの方法
業務の自動化には、主に4つの方法があります。それぞれを比較した上で、自社に合った方法を導入することが大切です。ひとつずつ見ていきましょう。
1:プログラミングを活用する
1つ目はプログラミング言語で業務自動化システムを作成し、導入する方法です。ソフトを操作したり、決まったサイトからデータを収集したりすることができます。
プログラミングは一度身につければさまざまなプログラムを作成でき、少ない費用で業務自動化を進められる点がメリットです。ただし、プログラムを一から習得するには、ある程度の時間と手間がかかります。
社内にプログラミングの知識や開発の経験がある人材がいる場合は、検討してみるといいでしょう。
2:RPAツールを導入する
2つ目の方法はRPAツールの導入です。RPAツールは、ロボットによってPC作業を自動化するツールです。エクセルのデータ入力や定型的なメールの送付、電話の転送業務など幅広い業務を自動化できます。
RPAツールは作業の手順やルールを一度設定すると、24時間365日業務を代行し続けてくれる点がメリットです。しかし、最初の設定を誤ると間違った業務を続けてしまい、結果的に膨大なミスが発生するリスクもあります。導入の際にはツールの使用方法を熟知して慎重に設定しましょう。
3:マクロを活用する
3つ目の方法はマクロを活用することです。マクロとはMicrosoftのOffice製品に対応する機能で、複数の動作をまとめて自動化できます。WordやExcelへの入力作業やデータの集計、ファイルの統合などが可能です。
マクロはVBAというプログラミング言語で作成します。プログラミングと同じく、知識さえ身につければコストがかからない点がメリットといえるでしょう。
デメリットはマクロの管理を徹底しなければならない点です。マクロは手軽に作成できますが、例えばチーム内でファイルを共有する場合などは似たようなマクロが乱立してしまい混乱する可能性もあります。
4:AIツールを導入する
4つ目の方法はAIツールを導入することです。音声認識やデータ分析、チャットボットなど、近年AIは身近な場所で活躍しています。AIは人工知能によって画像や音声の認識を自ら行うことが可能です。
例えば、オルツのAI GIJIROKUは会議の会話を漢字まで正しく変換して議事録化できます。さらに、複数人が話している場面での話者の区別も可能です。日々の会議やインタビューなどさまざまな場面で活用できるでしょう。
業務自動化を進める流れと注意点
業務自動化を効果的に進めるには、目的を明確にしてから取り組み、本格的な導入後も周知や効果検証などを行う必要があります。具体的な導入の流れと、注意すべき点について確認していきましょう。
目的とゴールを明確にする
業務自動化を検討する際は、初期段階で「何を目的としてこの業務を自動化するのか」「どういった効果を期待して自動化するのか」を明確にしておくことが大切です。
「なんとなく便利そう」など、明確な目的がない状態でツールを導入すると、現場でうまく活用されず従来の方法に戻ってしまう可能性があります。まずは目的とゴールを明確にした上で、自動化の方法や具体的なツールを検討しましょう。
効果の検証と改善を忘れずに行う
目的とゴールが明確になったら、対象となる業務をすべて洗い出し、リストアップして自動化が可能な範囲を選別しましょう。その際、実際の業務内容が手順書通りに行われているかについても、合わせてチェックしておきましょう。
業務自動化に適しているのは、デジタル化されたもので、ある程度のパターンに基づいて繰り返される定型業務です。一度にすべての業務を自動化するのではなく、実施しやすい業務の優先順位をつけて取り組むと、現場の混乱を招きづらくなります。
適切なツールを選ぶ
対象範囲が絞れたら、どのような方法で業務自動化を行うのかを検討しましょう。先述の通り、業務自動化の方法は主にプログラミング・RPAツール・マクロ・AIツールの4つがあります。それぞれコストや導入の手間、管理の難しさ、取り入れやすい業務内容などが異なりますので、目的に合ったものを選びましょう。
なお、自社で独自に業務自動化ツールの開発を行う場合は、特にセキュリティ面において注意が必要です。業務自動化ツールには、業務に必要なシステムやアプリケーションのIDやパスワードを埋め込むことが多いため、本来の業務範囲を超えた実行処理を行ってしまったり、情報漏洩の危険性が高まったりといったことが考えられます。
試行し、効果の検証を行う
業務自動化が適切な効果を発揮するかどうかは、実際にやってみないと分かりません。自社に合った適切なツールを選んだら、初めから本格的に導入するのではなく、業務を細かく分けて最低限の環境で試行しましょう。
その後、業務自動化によって削減できた時間や人員を数値化してデータ分析したり、現場へのヒアリングを通して効果を検証し、改善を忘れずに行うことも大切です。
試行によって発見した問題点はそのままにせず、設定を変えたり改善点を考えたりすることで業務自動化の効果を上げましょう。
イレギュラー発生時の対応を決めておく
本格的な導入を行う前に、イレギュラー発生時の対応を決めておくことも重要です。ツールを利用するうえでの懸念点が、保守点検やセキュリティ対策です。トラブルが起きた際にすぐ対応ができないと、業務が止まってしまう可能性があります。
業務自動化ツールの設定や操作について理解できる人材が複数いる状態を作っておき、いざという時の方針や相談先をあらかじめ定めておきましょう。合わせて、導入に向けてITツールに対応できる人材を確保・育成したり、研修やマニュアル整備をしたりと、入念に備えておくことも必要になります。
本格的な導入を行う
試行と効果検証を重ねて、生産性の向上や従業員からの満足度向上が確認できたら、本格的な導入に進めます。ツールの導入に必要な環境の整備や、従業員に対する説明、使い方の周知などを十分に行った上で、業務自動化ツールの導入範囲を広げます。
本格的に導入した後もより良い効果が出せるように、効果検証と活用方法の改善を定期的に行うとよいでしょう。
業務自動化の対象となる業務事例
最後に、業務自動化の対象となる業務の事例をご紹介します。ここでは、特にRPAツールを導入しやすい業務に絞って挙げていますので、参考にしてください。
経理部門
経理・財務部門は定型業務が多く、RPAツールを導入することで自動化しやすい業務が多い部門だと言えます。業務を行う日や時間が決まっているものも多いため、そうした業務をロボットに任せれば、従業員の残業時間削減にも大きな効果をもたらしやすいでしょう。
<業務の例>
・売掛・入金業務
・買掛・支払業務
・資産管理業務
・交通費精算確認業務
・請求書データのシステム入力
・預金残高作成
人事部門
人事部門も経理・財務部門と同じく定型業務の多い部門ですので、RPAによる自動化を取り入れやすいと考えられます。
<業務の例>
・過重労働管理業務
・人事考課業務
・経営層向け報告書作成業務
・採用管理システムの入力
・スカウトメールの送付
・給与明細作成
・入社・退社処理
営業部門
営業部門においても、RPAツールが活用できる定型業務は多く存在します。次のような事務作業を自動化すると、毎日数十分の時間が確保できるようになり、より効率的に営業戦略を考えたり顧客との打ち合わせ時間をつくったり、といった動きが可能になるでしょう。
<業務の例>
・販売状況調査業務
・定期的に発生する見積作成業務
・受注管理業務
購買・倉庫部門
商品の発注を行う購買・倉庫部門においても、RPAツールを導入できる業務があります。在庫の把握と発注をロボットに任せることで、人的ミスを減らし正確な管理業務も可能になるでしょう。
<業務の例>
・メール発注業務
・発注管理業務
・在庫管理業務
総務部門
総務部門では、定期的な報告書作成や反社チェック業務などにRPAツールが活用できます。定期的なチェックが自動で行えるため、工数削減だけでなくコンプライアンス強化にもつながるでしょう。
<業務の例>
・反社チェック業務
・定期的な書類作成
全部門向けRPA対象業務例
特定の部門だけでなく、全従業員が対象となる業務に関しても、RPAツールの対象となるものがあります。アプリやチャットボットなどと連携させて、日報を自動で作成する仕組みを構築すれば、従業員一人ひとりの手間削減につながるでしょう。
<業務の例>
・日報作成・提出
まとめ
人材不足や働き方改革などで効率化が求められる近年において、業務自動化は重要な施策です。今回ご紹介した方法や注意点を参考に、業務自動化ツールの導入や開発を検討してみましょう。
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AI GIJIROKU ブログ編集部です。議事録や、会議、音声を中心に生産性を向上するためのブログを執筆しています。